反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書) |
| 岩波書店 |
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価格:¥777 出版日:2008-04 セールスランク:3838 新書
著者:湯浅 誠 出版:岩波書店 (ASIN:4004311241, ISBN:4004311241, EAN/JAN:9784004311249)
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貧困問題・南北問題
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カスタマーレビュー: (全レビュー数:66) |
貧困と戦争はセットである (2010-07-30)
東大を出て、ホームレス支援活動を始め、派遣村設立に先頭をきって取り組んだ湯浅氏。
志の高いひとだと常々思う。
児童虐待や生活苦による犯罪の影に、貧困があるのはもう誰の目にも明らかである。
もはや勝ち犬、負け犬どころの話ではない。
貧困と犯罪、戦争は相互につながっている問題だということを知った。
国をあげての解決が一向に進まない理由は、著者が引用した研究者の言葉に尽きるのだろうと思う。
「貧困・福祉の研究成果が一般の人たちや政治家らの関心事とならずに、庶民の井戸端会議での感情的な議論そのままで貧困対策を議論しあっている傾向がある。」
で、自分はどうすれば良いのかというところまでは、至らなかった。
ただ、今までは嫌いだった社員食堂の風景が、昨日までと違って見えた。
「これほど多くの雇用を生み出しているというだけで、意味のあることではないか」と思った。
そして今日の育児放棄事件に関しても、彼女のバックグラウンドを思った。一人、風俗店で働かざるを得なかった苦労はいかほどだったか。子どもの父親は、家族は、自治体は、何をしていたのかとも。シングルマザーを支援できなかった我々にも大いに問題がある。
本書を読むまでは、本人の怠惰さを責める気持ちだけだったと思う。
貧困解決には幅広い連帯が必要かと (2010-06-18)
反貧困活動の現場におられて非常に具体的で
生々しいケースをたくさん紹介されている。
貧困を食い物にしたビジネスの横行もわかりやすい。
また、「金持ちの目には貧困が見えないようにできている」
というのはうまい表現だ。
医療費踏み倒し、給食費不払いなどのニュースに
憤りを感じる自分が以前はいたが、
同様のモラルハザード的なニュースのその裏には
隠された貧困という共通の問題点が存在しているのではないか?
という認識を今更ながら持つことができた。
もちろん全てが貧困を理由に踏み倒しているわけでは無いので
「取り立て」というような対症療法も必要なのだろうけど、
それだけでは根治は難しく、貧困問題に取り組まなければ
本当の解決には向かわないのではないかと思った。
貧困層の拡大は社会不安を増し、社会全体が弱くなる。
貧困層ではない中間層にとっても決してよい事では無い。
アダムスミスの
「社会構成員の圧倒的多数が貧しい社会が隆盛で幸福であろうはずはない」
という言葉に通じるのではないかと思う。
また知らない間に格差がつく構造改革がなされて
かつての中間層がどんどん「貧困層に滑り落ちている」日本。
この負のスパイラルを打破するには貧困に気づき、
貧困層を押し上げるために、幅広い連帯が必要と考えられた。
離婚について再考させられた (2010-05-08)
嫁との離婚を考えているタイミングでこの本を読みました。
自分が想像していた以上の「現実」がありました。
離婚により、子供が「貧困」、更に「貧困の再生」の危機に晒される可能性を思いました。
この本を読んで知った事
・セフティネットはない。(機能していない)
・お金や人間関係の「ため」が大事である事
・様々な社会問題に、貧困が関連している事
考えさせられた事
私自身「効率」を求める事が大事だと考えてきたが、
社会全体が効率を求めた事も貧困の原因の1つであるという事。
「溜め」の重要性 (2010-04-25)
雇用・社会保険・生活保護というセーフティーネットは今やズタズタに寸断され、まっしぐらに貧困に落ちていく「すべり台社会」が出現しつつあるにも拘らず、人々にプレッシャーとなって追い討ちをかける「自己責任論」。本書は、野宿者支援事業を中心に長らく貧困問題に携わってきた著者による「自己責任論」批判であり、具体的な活動を紹介しつつオルタナティブな社会への課題を語るものである。
具体的なエピソードの紹介を通して衝撃的な日本の貧困の現実を突きつける。のみならず、著者はそうした貧困に喘ぐ人々の苦境を「自己責任」で片付ける議論を打破するために、日本社会が抱える構造的な問題を丁寧に析出していく。他の多くの評者がレビューしている通りなので多くを紹介する必要はもはやないだろうが、最も印象的だったのは、「がんばるためには条件(溜め)が要る」という指摘だ。親の経済力という「溜め」(=余裕)なくして学歴は身につかず、結果不安定な非正規雇用に就かざるを得なくなる。失業しても、最低限の金銭的「溜め」がなければ仕事を選んでいる暇はない。給料日までの1ヶ月を遣り繰りできる金銭的「溜め」がなければ月給の仕事か日払いの仕事かという選択肢すら失ってしまう。貧困は家族や友人といった人間関係という「溜め」をも損ない、そのことが再び精神的拠り所や頼れる相手の喪失という形で貧困に拍車を掛け、絶望感を助長し、生きる気力を削いでいく。著者が見聞きしてきた具体的エピソードを通して見えてくるものは、貧困は自身の主体的選択の結果だとする「自己責任論」ではどうにもならない、「這い上がろうにもそれを支える社会の仕組みがない」構造的な問題である。政治と社会が「溜め」を作ることを手助けしていく必要性を痛感させてくれる。公設派遣村への逆風が激しく吹き荒れたように、自己責任論はまだまだ根強く存在する。本書が広く読まれることを願ってやまない。
どれだけ否定されてもまだ心の底で巣くっている自己責任論 (2010-03-29)
本書の著者湯浅誠は、昨年暮れに政府の要請をうけ「緊急雇用
対策本部貧困・困窮者支援チーム事務局長」(長い名称だ)に就
任して話題を呼んだ。しかし彼の「反貧困」の活動は実はこれに
限らず、もっとずっと前から、だれの注目も集まっていないときから
始まっていたのだろう。本書は、貧困問題が本格化(それ以前に
それが“存在しなかった”という意味ではない)する以前に書かれ
た、そんな彼の草の根の運動のひとつに数えられるのかもしれな
い。
本書はわかりやすく二部構成にされていて、第一部ではまさにコ
ケればノンストップで底まで落ちていってしまう、政府が今までひ
た隠ししつづけてきた(と表現せざるを得ない)日本の貧困の現状
が語られる。続く第二部は、現場でそれを見続けてきた彼自身が
説く、タイトルどおりまさに「反貧困」の方策だ。
今まで自国の貧困問題に真っ正面から向きあってこなかった政府
が作った貧困の資料が、逆に国民生活の「底下げ」に使われてい
たという「愉快な」実情や、生活保護給付の現場で職員たちによる
「エキサイティングな」水際作戦など、知られざる実体があふれてい
るが、本書がいちばん指弾するのは、もっと見えない「心の部分」だ。
自己責任論はいくら否定されたといっても、実はまだみなの心の底
には「俺も頑張ったんだからおまえも頑張れよ」という気持ちは深く
根付いているのだ。著者はその論理を、「溜め」という概念をもって否
定する。これについて、ジョッグ・ヤングが『排除社会』の中で似たよ
うなことを言っている。この社会は能力主義なんかではぜんぜんない。
だってもともとの「スタートライン」がまったくちがうのだもの、と。
これを読み終えてみると、「年越し派遣村」のときにテレビに映ってい
たいつもどおりの彼の仏頂面は、いつにもまして歯がゆいという感情
を秘めていたのかもしれないと、思えてくる。というのも、「村」は貧困
に陥っている人の仮の宿でしかないのだ。本当に必要なのは彼がこ
の本で書いているとおり、そもそも貧困状態の起きることのない「強い
社会」なのだから。
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